・今流行りのローパスレスって何?
最近カメラ業界ではやりの機種、ローパスレス。
「ローパスレスで解像感が最大まで引き出せます」
という謳い文句が多いですが
そもそもローパスレスってなんなのさ。
「ローパス=ローパスフィルター」「レス=無い」の略です。
じゃあ、ローパスフィルターって何なんだ。
ローパスフィルター(Low Pass Filter)は
Low(低い)周波数だけPass(通す)Filter(フィルター)です。
画像で言う周波数が低い高いとは
高い部分:木の葉っぱ部分とか細かい模様の部分
低い部分:ボケた背景とかなめらかな部分
です。
つまりローパスフィルター(以下LPF)を通すと、
細かい部分がカットされるので、
元の画像をぼかした画像になります。
このLPFが入っていないカメラがローパスレスです。
そうなら、ローパスレス以外のカメラは
画像をぼかすようなLPFが入っているの!?何のために!?
それにはまず、受光センサー(CMOS)のベイヤー配列について理解する必要があります。
下の図はセンサーと映った画像の関係性の例です。
レッド(R)ブルー(B)グリーン(G)のカラーフィルタを備えた各画素が規則的に並んでいます。
緑の画素が多い理由は、グリーンの波長が一番、光の輝度情報に関与するからです。
人間の目は光の量の変化には敏感ですが、色の変化には鈍感です。
その特性を活かすために、グリーンの画素が多くなっています。
(参考)
Y(輝度) = 0.257*R + 0.504*G + 0.098*B;
例として2400万画素のセンサーを示しました。
RGB全部合わせて2400万画素です。
しかし、撮影された画像も縦4000×横6000の2400万画素です(当然ですが…)
拡大するとRGGBのようにベイヤーで並んでいません。
下の図のように隣接する画素から補間を行うことで
足りない色成分を補います。
しかし下の図のように1画素ピッチより細かい模様などの被写体がうつると
不都合なことになります。
本来被写体が存在しない部分から補間を行ってしまうので
存在しないはずの色が出てしまいます。
これが偽色です。
また、服の生地や建物の模様のように模様がパターン上に並んでいるとモアレとなります。
モアレの例
このモアレはセンサに投影された像が画素ピッチより小さいと発生します。
モアレが発生しないぎりぎりの周波数をナイキスト周波数といいます。
信号処理の技術観点からみると
ナイキスト周波数以上の周波数になると折り返しひずみが生じて
「もともと存在する色や模様」なのか「モアレによるもの」なのかが
原理的に判断できなくなります。
そのため、一度発生してしまったモアレは取り除くことができません。
なので僕個人としてはローパスレスはあまり好きではありません。
ただし、ナイキスト周波数はセンサの画素ピッチに依存するので
高画素になればナイキスト周波数も上がりモアレが発生しにくくなります。
モアレを防ぐための苦肉の策がLPFです。
右が四点分離LPFです。
一点に集まる光を4画素分に広める(ぼかす)ことで
偽色やモアレを防ぐことができます。
モアレを防ぐ方法としては、他には
富士フィルムのX-transCMOSがあります。
これはベイヤーのようなすごい周期的な並びではなく
周期性を弱めたカラーフィルタの配置によって防ぐという手法です。
またシグマではフォビオンセンサーという特殊なセンサを用いています。
このセンサは色を縦分離するのでモアレが発生せず、
また解像度がとても高いです。
フィルム時代はフィルムの感光剤に周期性が無いので
殆どモアレは発生せず、あまり問題になりませんでした。
僕個人の意見としては、十分なモアレ(及び偽色)対策がなされていないならば
ローパスフィルターはある方がいいと思っています。
K-5ⅡとK-5ⅡsならK-5Ⅱを選びます。
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