・D-レンジオプティマイザの弊害
デジタルカメラには白飛び補正とかダイナミックレンジ拡大とか
オートライティングオプティマイザとか
ハイライト補正とかそういった機能が入っています。
デジカメのセンサはフィルムなどに比べて明るい所が真っ白になりやすい
という特性があるので、それを防ぐために入れられた機能です。
素晴らしい機能のように思えますが、もちろん弊害もあります。
仕組みを十分理解することで適切な使い方ができると思います。
白飛び補正はガンマカーブを用いて行われています。
ガンマとかγとか書きます。
画像処理とかPCでのデザインにかかわる仕事をしていないと
聞きなれない言葉だと思いますので、簡単に説明をします。
その昔、ディスプレイがまだブラウン管だったころ、
ブラウン管の特性として入力された信号の強さに比べて
出力(表示される画像)の明るさが正しくないという問題がありました。
正しい表示にするために入力→出力でディスプレイの特性を打ち消すような
入出力関数をかけなければいけません。
いまは液晶モニタなどが主流ですが、
ほとんどのモニタはこのブラウン管の時の特性を持たせています。
これをγと言います。よくつかわれるのがγ2.2といわれる曲線です。
このγを画像にかけておくことでディスプレイに表示される画像が
適正なものになります。
ディスプレイで表示すると、ディスプレイのガンマ特性と相殺されて
適切な表示になります。
ここまで述べたγですが、いわゆるトーンカーブと
同じようなものなので、γをどのような曲線にするかによって
暗部を持ち上げたりすることができます。
ハイライト側(白飛び側)での補正は少々厄介になります。
デジカメのセンサは、シャドー部はかなり情報が残るので
持ち上げることで暗部のつぶれかけていた所が救えます。
しかし、ハイライト側はセンサのダイナミックレンジが狭いので
白飛びしやすく、白飛びした所はどんなに頑張っても補正できません。
そのため、そもそもを白飛びしないように露光するしかありません。
例えばシャッター速度を半分にします。
そうすると1Ev分の白飛び部分が救えることになります。
ただ、シャッター速度を早くしただけでは単にアンダーで撮影した画像になります。
そこで、γをかけるときに二倍の値を持つγを使うことで
画像を適正露出にします。
単純にγの値を二倍しただけではダイナミックレンジが狭くなるだけです。
そこで上のグラフの点線の様にハイライト側を伸ばしてやると
1Ev暗く撮影した分だけ白飛びが救えます。
ただし、暗部でγの傾きが急になる分
暗部での諧調飛びが発生する恐れがあります。
また、γを二倍にするのでISO100で撮影しても、
ISO200相当の画質(ノイズなど)になってしまいます。
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