・撮像素子のISO感度とダイナミックレンジの関係
撮像素子のダイナミックレンジについて
ISO感度がいくつの時が一番広くなるか
検証してみました。
拡張感度ではない、最低感度が一番ダイナミックレンジが
広くなるというのが基本概念です。
拡張ISO 50などを使うと、ダイナミックレンジは狭くなります。
また、ISO400など高くなってくると狭くなります。
ところが、ISO100が基準感度のカメラで
一番ダイナミックレンジが広いのはISO200ではないか?
という話が私の周りで出ました。
真相を確認する為に撮影検証をしました。
確認方法はRAWで下図の様なグラデーションチャートを撮影します。
(JPEGではガンマがかかってしまっているのと、8bitのために
正確に測定できない)
また、周辺光量落ちの影響を少なくするために
絞りをF5.6でチャート画像中央付近に来るように
撮影します。
グラデーションチャートなので、
右側に行くほど明るくなって
白飛びしやすくなります。
なので、右側の白飛び箇所が狭いほど
ハイライト側のダイナミックレンジが広いことになります。
下の画像がISO100,200,400,800でそれぞれ撮影した
ハイライト側の部分です。
白飛び箇所をわかりやすくするために
ゲインを調整して、目立つようにしています。
白い所が白飛び箇所です。
この結果から、基準感度のISO100から
上がるに連れて若干ですがダイナミックレンジが
狭くなっていることが分かります。(白飛びしやすい)
ではシャドー側の黒つぶれはどうか。
感度を上げると熱ノイズの影響が目立ってきます。
暗部が紫色っぽくなる、マゼンタ浮きのことです。
実際に撮影した画像が以下です。
感度が上がるほどマゼンタかぶりが酷くなり
それに埋もれるかたちでシャドー側のダイナミックレンジが狭くなります。
上記の画像も撮影時はグラデーションの一番明るいところから
-6Evで撮影しているので、JPEGでは殆ど真っ黒画像です。
RAW撮影なので、そこから無理やりシャドーを持ち上げています。
感度が上がるほど熱ノイズの影響が大きくなるのは、
ISO感度でカメラ側でゲインをかけて
さらにRAW現像ソフトでゲインを書けることで
目立ってしまいます。
以上の結果より、感度を上げるほど若干ダイナミックレンジが
狭くなることが分かりました。
数値的には若干のような感じです。
感覚的にはノイズの影響もあり大きく感じるかもしれません。
風景撮影などでダイナミックレンジを極限まで取りたいのであれば
最低感度で
画角内の一番のハイライト部分の輝度を反射式輝度計ではかり
そこがギリギリ白飛びしない露出で撮影。
(但し太陽などが入っていないこと)
それで撮影したRAWの暗部を持ち上げるのが
一番広くなります。
デジタルであれば、HDRを使うのが手っ取り早いかも。
フィルムで言う覆い焼きみたいなものです。
ただし、夏の暑い夜だったりすると
露光時間が長くなるほどセンサの発熱で熱ノイズが多くなります。
ISO100で10分とか露光するととんでもないことになります。
感度を上げることで熱ノイズの影響も出やすくなりますが
露光時間を短くして
一回の撮影ごとに時間を開けるのがいいと思います。
(冷却装置があれば尚良い)
« ・初心者のためのレンズ選び 第4回:風景の撮影 | トップページ | よみうりランドでイルミネーションを撮影 »
「写真講座」カテゴリの記事
- ・クアッドピクセルのさらに上をいくセンサー(2024.11.02)
- ・彗星を撮った時の設定2(2024.10.30)
- ・彗星を撮った時の設定(2024.10.05)
- ・面内ブレ(ブラー)を防ぐ(2024.09.12)
- ・星をより輝くように見える現像方法 (疑似ソフトフィルター)(2024.09.01)
コメント