・歪曲収差とは
前回書いた像面湾曲は
光軸方向に発生する収差です。
こういう収差を「縦収差」といい、
画像処理で補正することは困難です。
絞ることで多少改善されるので、撮影時に注意する必要があります。
歪曲収差は水平線やビルの淵などの直線が曲がってしまう収差です。
ディストーションとよく呼ばれます。
このような画像平面上で発生する収差を「横収差」と言います。
横収差は絞ってもほとんど改善しませんが
画像処理で補正することが比較的容易です。
下の図は格子状の被写体を撮影した時です。
収差が無い場合はきちんと直線はまっすぐになります。
しかし、ディストーションがあるレンズだと
下の二つの図のように
タル型か糸巻き型の様にぐにゃっと曲がってしまいます。
特に画像周辺部が顕著です。
広角系のレンズだとタル型になることが多く
望遠系のレンズだと糸巻き型になることが多いです。
ズームレンズではディストーションが大きいことが多い。
ディストーションは直線が曲がりますが
結像性能には基本的に影響がありません。
そのため解像度が下がることはないです。
しかし、カメラ内でディストーション補正ONにすると
解像度が下がってしまいます。
ディストーション補正の仕組み
どちらも収差によって曲がった分、
引っ張るような変形をさせてまっすぐにします。
湿布を引っ張るようなイメージです。
直線がまっすぐになるように変形させた後、
青線の部分で切り出したものが補正後の画像です。
ディストーションがなくなって直線になります。
しかし、本来撮影された範囲は図で言うと黒枠なので
画像の端の一部は切り取られてしまいます。
そのため、画角(焦点距離)が若干変わります。
また、周辺部ほど引き延ばされるので
その分解像度が失われて画質劣化につながります。
解像度劣化まで気にしているカメラだと
ディストーション補正ON/OFFができたりします。
ニコンP7000はON/OFFできますが
キヤノンG12はできません。
ペンタックスMX-1はできますが
オリンパスXZ-2はできません。
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