・コサイン四乗則とは
レンズ起因の周辺光量落ちは、
原則としてコサイン4乗則という法則に従います。
下の図は光学系を横から見た図です。
光軸外からレンズに入射した光と光軸とがなす角をθ
像面上の中心からの距離(像高)をh、
レンズの焦点距離をfとします。
このとき角度θと中心部と比較した光量は
以下のグラフのようになります。
角度θは像高hとほぼ同じ意味になることを注意。
このグラフはコサインの四乗です。
焦点距離が短いほどコサイン四乗則による
光量落ちは少なくなります。
三角関数の数式で表すとこうなります
θ = arctan(h/f)
シータ イコール アークタンジェント エフ分のエイチ
arctanは単調増加関数なので
焦点距離が短いほどθは大きくなります。
なぜ4乗になるのか。
光は放射状に広がるので
光源からの距離が3倍になると
単位面積あたりに当たる光量は1/4になってしまいます。
距離が3倍だと光量は1/9です。
距離の二乗に反比例します。
単純に近いほうが明るいということです。
レンズの射出瞳位置≒レンズの焦点距離
といえます。
射出瞳が像面に近いと、
軸上の光線と像高が高い光線の距離の比が
大きくなります。
オレンジの矢印と赤の矢印の長さは
焦点距離が短いほうが比が大きい。
この図より、角度θにおいて
光量はcosθの二乗に比例するといえます。
(cosθは0°≦θ≦90°で減少関数)
次に、斜めから入射した光についてです。
真夏の昼間の太陽が天頂付近にいるときと
夕方では、太陽の強さは同じでも
夕方の方が日焼けしにくいイメージ。
単位面積あたりに照射される光量は
角度θによって変動します。
つまりcosθに比例します。
ここまでで、周辺部では
画像中央に入射する光に比べ
コサインの3乗に比例して光量が落ちることが分かります。
ここで、レンズの大きさは
有限であることを考慮する必要があります。
上の図では垂直に入ってくる光も
斜めに入射する光も、光量としては同じです。
(青矢印の長さが同じ)
しかし、下の図のように、
斜めから入ってきた光はレンズの幅の分しか通れません。
この幅の減少は角度に依存します。
ここで更にcosθがかかる。
最終的に全部でコサインの4乗になります。
画像中心から周辺に行くにつれて
コサインの四乗に比例して光量が落ちます。
これは非常に極端に落ちることを意味します。
最近のレンズの設計では
レンズの開口を広げるなどして
コサイン四乗則のように落ちないように設計してあります。
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