・ARコートとは
以前にコーティングの種類について書きました。
ARコートはほとんどすべての光学ガラスに
用いられているコーティングです。
「Anti Reflection」の事で
反射防止コートです。
不必要な反射によって、カメラではゴーストなどが発生するので
レンズのコーティングには各社最新の技術で
ARコートを施しています。
何も処理が行われていない一般的なガラスはだいたい4%反射します。
5枚ガラス板を重ねると、最初の光の約66%しか透過しません。
カメラのレンズは何枚もガラスを重ねているので
コーティングがいかに大事かが分かります。
中央部分にARコートがされたガラス板を10枚重ねたものです。
コーティングされていない周辺は反射してしまって
向こう側がほとんど見えない。
このコーティングを複数層にすることで
どの色の波長も反射が少なくなり、透過性が上がります。
ペンタックスのsmcコートは「スーパーマルチコート」の略です。
ペンタックスのABコートやニコンのナノクリスタルコートは
レンズ表面にくさび状の構造を形成して空気とガラスの屈折率の差を
滑らかにするという特殊なコートで反射防止をしています。
ペンタックスのHDコート
参考:ペンタックスの技術ページ
反射率が可視光領域で0.1%以下に抑えられています。
このコーティング技術は各メーカ、最重要課題として
日々研究開発を行っています。
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コーティングのないレンズ1面の透過率は約96%(減衰率4%)、1枚あたり2面を透過するためですから、コーティングなしのレンズを5枚透過する光は10面で0.96の10乗=66%程度が透過する計算になります。
また、
「このコーティングを複数層にすることで
どの色の波長も反射が少なくなり、透過性が上がります。
ペンタックスのsmcコートやニコンのナノクリスタルコートが有名です。」
と書かれていますが、ペンタックスのsmcコートとニコンのナノクリスタルコートは原理的にも異なるもので、ナノクリスタルコートはいわゆる多層膜コーティングではありません。
投稿: D | 2016年2月 9日 (火) 18時37分
光学ガラスでもガラスの屈折率によって反射率が異なりますがBK7だと、確かに4%程度ですね。
ご指摘ありがとうございます。
ナノクリスタルコートは楔形の特殊なコートなので、ここでの例として不適切でした。
反射防止コート全般について書いているつもりでした。
修正いたします
投稿: 管理人 | 2016年2月 9日 (火) 19時13分