・HDRディスプレイとは
最近はテレビのモニターで4Kが流行っていますが、
それとは別にHDRも流行りだしています。
HDRとはハイダイナミックレンジの事です。
今までは白飛びや黒つぶれしていた画像でも、
きちんと諧調が残った映像になります。
ディスプレイの一番暗い部分は電源を切った時の暗さ以下にはなりません。
電源を切った時はグレーに見えるディスプレイもありますが、
電源を入れたとき明るい部分と比較して暗いので
結果的にまっ黒に見えます。
暗い方向にはダイナミックレンジを広げるのは不可能なので
HDRディスプレイでは明るい方向にダイナミックレンジが広がります。
どれくらい広がるかというと、現在の規格(BT.709)の100倍です。
水面の光の反射など、きらめきを以前の規格のディスプレイよりも
高輝度で表すことが可能です。
また、高輝度側に余裕が生まれると、彩度も以前よりもより高く
表現することが可能です。
液晶モニタではRGBの原色を使って色を表しています。
例えば、赤が一番鮮やかになるのは(R:G:B) = (255: 0: 0)の時です。
これ以上に明るくしようとすると(R:G:B) = (255:10:10)となってきて
彩度が下がってしまいます。
高輝度側に余裕があると(R:G:B) = (511: 0: 0)等が可能です。
下の図は擬似的にHDRディスプレイの赤を表したものです。
両方とも赤の輝度は同じですが、これまでのディスプレイで
同じ輝度の赤を表そうとすると、くすんでしまうことが分かります。
現在の液晶ディスプレイでも、部分的にバックライトを明るくすることで
彩度を下げずに輝度を上げる技術もあります。
ただし、HDRディスプレイで画像や映像を見るには
今までとは違う画像処理が必要になります。
これが面倒くさい。
上の図のように、現在取り扱われているほぼすべての画像は
8bit(256階調 0-255のデータ)です。
しかし、HDRディスプレイは8bitより大きな数字が扱える10bitです。
パソコンでのデータの処理は8bitで行われます。
8bitの色空間で画像処理をし、8bitのモニターで表示し、
8bitのフォーマットの画像データを
10bitのHDRディスプレイに表示すると
思った色になりません。
どんな雰囲気にになるかを伝える為に、
あえて6bit画像を作ってみました。
いま、このブログを見ているモニタは8bit表示です。
8bitで処理した画像(通常の処理)
6bitにするにあたり、画像のリニアリティを出さなくてはいけないので
逆γをかけました。
暗くなっていますが、この状態が
撮影時の光の量と画像の明るさが比例している状態です。
この画像を6bit(0~63の64段階)で表示します。
あくまでもイメージですが、全体的にとても暗い画像になってしまいます。
10bitのHDRディスプレイで8bit処理された画像を見ると
こんなふうな印象です。
6bit画像を8bitディスプレイ特性を考慮して
何とか表示させると下の写真のようにはなります。
色の再現がけばけばしく感じます。
AdobeRGBモニタでsRGBの画像を見ると彩度が高く見えるのと似ています。
6bitと8bitでの差を擬似的に表現してみましたが、
8bitと10bitのディスプレイでも同じような差が生まれます。
一般的な環境である8bit表示で作成された画像を
10bitディスプレイに表示すると正しい色にならないのが分かるかと思います。
10bit画像を扱う時は10bitディスプレイで見なければなりません。
4Kは単純に解像度が増えるだけですが、
HDRディスプレイはかなり難しい。
« ・フィルム設計のレンズはデジタルで像面湾曲が出る | トップページ | ・マクロ撮影方法による描写の違い »
「写真講座」カテゴリの記事
- ・彗星を撮った時の設定(2024.10.05)
- ・面内ブレ(ブラー)を防ぐ(2024.09.12)
- ・星をより輝くように見える現像方法 (疑似ソフトフィルター)(2024.09.01)
- ・アトムレンズの黄変を直す2(2024.08.12)
- ・laowa 10mmF2.8 ZERO-Dを確認(2024.07.31)
コメント