・大口径ショートフランジバックとレンズ設計の自由度
ここ最近キヤノン・ニコンから発表された
フルサイズミラーレス規格。
先んじて発売していたフルサイズミラーレスのソニーとの
大きな違いはマウントの口径です。
中央がソニーEマウント、
左がキヤノンRFマウント
右がニコンZマウント
ソニーのEマウントはもともとAPS-Cサイズのセンサを
ターゲットに作られたためマウント径が小さいのですが、
キヤノン・ニコンの新しいミラーレスマウントは
最初からフルフレームをターゲットにしているため大きい。
マウント径を大きくするメリットと
ショートフランジバックのメリットを簡単に記載します。
・ショートフランジバックのメリット
フランジバックとはマウント面からセンサ面までの距離です。
一眼レフでは構造的にミラーを入れる分のスペースが必要で
そのため、フランジバックが長くなっていました。
フランジバックが長いと困るのが焦点距離の短いレンズ。
一眼レフのフランジバックはだいたい40mm-50mmなので、
それよりも焦点距離の短いレンズ(広角レンズ)を
設計しようとすると工夫が必要になります。
その設計がレトロフォーカスタイプです。
ただ、レトロフォーカスタイプでは
負のパワーを持ったレンズが前群に偏るので収差が大きくなりがち。
つまり、フランジバックの短いマウントでは
広角レンズを設計する際に有利になります。
(高価な硝材や多数のレンズを用いなくても性能が出せる)
・大口径マウントのメリット
マウント径が大きくなると有利な点として第一に
明るいレンズが作れるということです。
F1.0などのものすごく明るいレンズは
FマウントやKマウントではマウントで光束がけられてしまいます。
そのため、そもそも作ることができませんでした。
また、マウント内にある電子接点でも光束が蹴られるので
AFでのF1.2レンズも作れませんでした。
新しいミラーレスのマウントは大口径なので
すでに明るいレンズも発表されています。
ニコン
58mm f/0.95 S Noct
50mm f/1.2 S
キヤノン
RF50mm F1.2 L USM
また、マウント径を大きくメリットとして
後玉を大きくしやすくなるためテレセン性を確保しやすくなります。
テレセン性が高いレンズであれば、周辺画質や
IRカットフィルタによる色シェーディングを抑えることもできます。
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