・デジカメが苦手とする色
デジタルカメラでは色を作るために
光の3原色のカラーフィルタを通したセンサの画像を使っています。
このカラーフィルタが通す光の波長は、
人間の眼の3つの錐体の分光感度に近づくように設計されています。
しかし、デジカメで撮影したカラー画像と、
人間の見た目で感じる色にどうしても差が出てしまいます。
その理由は人間の脳内では記憶に基づき
色を補正していたりすることが殆どですが、
どうしてもデジカメの原理的に苦手とする色もあります。
その代表的な色が、青紫色。
アジサイや藤の花の色です。
実際に数値でどうなっているかを確認してみます。
日中屋外(D65 6552Kの太陽光下)で、カメラで撮影したマクベス。
この写真のチャートの各色パッチの数値と
チャートのメーカーで公開されている
正式な値を比較してみました。
上のグラフは、マクベスのパッチの各色の情報を
a*b*平面上にプロットしたものになります。
青のプロットが正式な値、
黄色のプロットがカメラで撮影した色です。
グラフの見かたとしては、中心の原点は無彩色、
周辺に行くほど彩度が高い色になります。
また、青と黄色のプロットが離れているからといって
色が全く異なるというわけではありません。
例えば上の図の14番のパッチ(green)は
黄色と青のパッチのプロット位置は離れています。
しかし、原点からの方向は一致しています。
つまり、彩度が違うだけで、色の種類としては同じです。
左:マクベスの理論値 右:撮影した画像の色
※輝度は揃えてあります。
ほぼ一致しているパッチがあることが分かります。
黄色-オレンジ
マゼンタ-青
このあたりの色のズレが大きい。
逆に緑-青系の色や肌色は
ほぼ一致しています。
これは、写真でよく撮られる被写体が
植物の緑や、空の青、人の肌だったりするため
これらの色相はなるべく正確に
色再現をするという思想があるためです。
一方、デジタルカメラの色づくりでは
ある色を重視して設計するために
カラーマトリクスなどを調整すると
引っ張られて別の色まで影響を受けてしまいます。
この影響を受ける色が青紫だったりします。
(黄色系は見栄えのためにあえてずらしていることもある)
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