・Kenkoスターリーナイトフィルターを確認
天体撮影時に街の光などの光害を減らしてくれる
光害カットフィルター。
評判のKenkoスターリーナイトフィルターを購入したので
いつものようにチェックしてみます。
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Nisiの光害カットフィルターの確認
Kaniの光害カットフィルターの確認
右:KANIの光害カットフィルタ
左:Kenkoの光害カットフィルタ
商品紹介の写真では緑っぽく見えますが、
実際のフィルターの色は紫系です。
KANIのフィルターと比較すると色が薄い。
いつものように日中の太陽光下での分光がどのようになるのか確認してみます。
光害の原因となる水銀灯、
ナトリウム灯の輝線をカットするのが光害カットフィルターです。
波長が580nm付近の水銀灯及びナトリウム灯の輝線が
どちらのフィルターでも通さないことがわかります。
実際にどれだけの効果があるのかを確認します。
前回まではグレーカードを撮影して
どれだけカットされるかを確認しましたが、
今回は色彩照度計を用いてしっかりと確認。
まずは太陽光下です。
フィルターなしでの光量は114000Luxでした。
そしてKenkoスターリーナイトフィルターでは71400Lux
露出係数を計算すると
KANI
0.87段暗くなる
Kenko
0.67段暗くなる
※計算方法(KANIの場合)
暗くなる段数= Log{(1/2),(62500/114000)}
底が(1/2)の対数をとれば、露出の段数がわかります。
写真で用いられる段数は光量が半分になると1段暗くなるため。
水銀灯下ではどうなるか。
理想的には水銀灯の光は通さないでほしいので
真っ暗になるのが良い。
どちらのフィルターも
540nm付近の輝線はほとんどカットできていないのが気になる。
露出係数を計算すると
KANI
1.2段暗くなる
Kenko
0.9段暗くなる
太陽光と比較すると
KANI 0.36段の効果
Kenko 0.22段の効果
KANIのほうが僅かに水銀灯の光をより効果的にカットできることがわかります。
ただし、水銀灯は2021年には製造も販売も中止になる。
都心部ではすでに水銀灯がほとんどなくなってきていて
LEDに置き換わっています。
今後は水銀灯についてはそんなに気にしなくてもよいかも。
続いてナトリウム灯。
最近は演色性の高い高圧ナトリウム灯が増えてきて、カットするのも難しいが。。
露出係数を計算すると
KANI
2段弱暗くなる
Kenko
1.46段暗くなる
太陽光と比較すると
KANI 1.3段の効果
Kenko 0.8段の効果
ナトリウム灯の明かりに対しては、
KANIのフィルターのほうがKenkoのスターリーナイトよりも
0.5段分も有利に働きます。
全般的にKANIの光害カットフィルタのほうが高性能に感じますが、
効果が強い分、太陽光下での減光も大きいので、
天体撮影時にもISO感度を上げたり、露光時間を延ばすなど
より光量を得る対応が必要になります。
実写による確認は次回。
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