・デジタルゲインはアナログゲインより画質劣化
以前の記事、
アナログゲイン、デジタルゲインの差
上の記事ではRAWにおいてはあまり差がないと記載しました。
しかし、星景画像や夜景シーンのように極端なシーンにおいては
その差分が出てきます。
ISO以外のシャッター速度などはすべて同じにしているので、
当然、ISO 800のほうが暗くなります。
この画像をRAW現像で明るくします。
(元ISO 800,デジタルゲインISO25600相当)
(ISO25600,アナログゲイン)
比較
左:ISO800デジタルゲイン 右:ISO25600アナログゲイン
明るいところはそれほど差がないように見えます。
暗部では
ディティールがISO25600で撮影した画像のほうが残っています。
これにはいくつかの原因が考えられる。
まずはデジタルデータは離散データであるということ。
14bitのRAWであれば、画像は0-16384の諧調で作られています。
ISO800の元の画像のヒストグラムはこんな感じ
ISO 800の画像にデジタルゲインをかけて明るくするということは
下の図のように、暗部に集まっていた情報を引き延ばすことになります。
ISO 800で暗く撮影しているということは、
ヒストグラムの右側の部分を全くの無駄にしています。
つまり、情報量としては実質12bitくらいしか使えていません。
対して、元からISO25600で撮影した画像は14bitの諧調を無駄なく使えています。
これだけでも、デジタルゲインのほうが不利であるということがわかります。
シャドーからハイライトまで、階調が無駄なく使えているのがわかります
次にガンマの問題。
実際表示される画像にはガンマがかかります。
ガンマの入出力関数は下の図
横軸が入力で、縦軸が出力です。
グラフを見ると、入力が64くらいのところでは
出力が256ほどになっています。
つまり、暗部ではガンマによって諧調不足に陥りやすい。
これが、最初のほうに述べた、
暗い部分ではデジタルゲインの画質が特に劣化する理由です。
最後に、これは本質ではありませんが
カメラの設定でISO25600などの高感度を選んだ場合
カメラ内で、RAWにノイズ処理をかけたりする場合があります。
こういったことを行っている場合、
後処理でISO 800のRAWにゲインをかけても
ISO25600の画像のほうがきれいに見えます
(ただし、ノイズリダクションを行った分、解像度は落ちたりする)
RAWって生データじゃないの?そんな事やってもいいの?
と思うかもしれません。
例えば像面位相差画素を使ったカメラの場合、
位相差用画素は欠陥となるので画素欠陥補正をRAWにかけています。
こんな感じで、RAWにも実は様々な画像処理がかけられていることがおおい。
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