・写真レンズと望遠鏡との違い
カメラ用の超望遠レンズは非常に高価です。
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しかし、望遠鏡であれば、そこそこのもので日本製のものが
7000円ほどで買えてしまいます。
また、望遠鏡とカメラを付けるのは非常に簡単。
Tマウントアダプタ
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各カメラマウント変換アダプタ
ペンタックスの場合
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ちなみにペンタックスだと望遠鏡を半AF化させるとんでもない道具もある。
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テレコン内のレンズを駆動させることでAFを実現。
ただし、F値の大きい暗い望遠鏡では位相差AFはできず、コントラストAFのみ。
望遠鏡と写真レンズにはものすごい値段の差があるのですが、
写真レンズとの違いはなんなのか。
まず、望遠鏡にはAFや絞りといった複雑な機構は付いていません。
例えば前述のアメリカン!遊星號はF値は16で固定。
(焦点距離800mm ÷ 口径50mm)
望遠鏡の大きな特徴としては中心解像度はとても高く、
周辺はそれほどでもないという性質があります。
周辺の像性能を気にしなくてよいので、レンズ構成もとてもシンプルです。
アクロマートであれば2枚しか使われない。
また、望遠鏡での被写体は無限遠なので、
近距離被写体での像性能は考えられていません。
これもレンズ構成がシンプルになる理由です。
さらに、焦点距離が長く写真レンズよりもF値の暗い望遠鏡であれば
光をそれほど屈折させないので、色収差もそもそもそれほど発生しません。
高級な3色の色消しレンズを用いたアポクロマートでも、
写真レンズのように10枚以上の玉を用いるようなものはほぼ無い。
この望遠鏡は安いのですが、周辺解像まで比較的高い。
参考までに焦点距離は全然違うが55-300mmの300mmで撮影した画像
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いつも拝見させていただいております。
レンズの解像度は明るさに比例すると聞きました。望遠鏡の場合は中央部が高く、周辺が低いそうですが、この場合に中央部のみに限れば明るさに比例することなく高くするという設計は可能でしょうか?
レンズ全体で平均すれば解像度は明るさに比例するとしても、中央部は高く、周辺は低くできるのかも知れないと思いましたので、質問させていただきました。
投稿: Tansney Gohn | 2020年7月12日 (日) 11時57分
レンズの解像度は明るさに比例する
これですが、正確にはレンズ口径が大きいほど分解能が向上するということですが、
望遠鏡の世界でも同じ焦点距離であれば、口径の大きい明るいレンズのほうが
暗い星を捉えることができます。また、僅かな明暗の差もはっきりします。
本題ですが、望遠鏡の場合、見たい天体を視野の中心に持ってくるので
周辺解像度を重視しない作りになっていることが多いです。
これは、レンズ(球面レンズ)であれば、周辺に行くほど収差の影響を受けて
解像度が低下してしまう、という基本的な理由から来ることです。
写真レンズでは、周辺の解像度まで確保するために、
補正レンズを何枚も入れることで、周辺まで解像を確保しています。
(安いレンズだと周辺が流れちゃうレンズが良くある)
望遠鏡でも周辺解像を良くするためにフィールドフラットナーという光学系を入れる場合があります。
なので、レンズ設計としては、中央部の解像度は高いのが前提で
周辺をどれだけ良くするか、という方針で行われています。
あまりにも口径が小さいレンズで中央だけでも解像度を確保しようとすると
レンズの製造誤差が支配的になってきて難しいと思います。
投稿: 管理人 | 2020年7月12日 (日) 12時19分
管理人様
概ね、明るさからレンズの分解能が推測できると理解いたしました。
解説いただき、ありがとうございました。
投稿: Tansney Gohn | 2020年7月12日 (日) 16時39分