・ペンタプリズムのガラス
先日、ペンタックスが
「ファインダーにこだわる、一眼レフでやっていく」
といった声明を出しました。
ペンタックスはミラーレスで失敗したので
ミラーレスはやりたくない、ってのがあると思いますが、
光学ファインダーは間違いなく良いものを作っています。
私自身も最近の撮影では、夜景だ、蛍だ、花火だ、で
光学ファインダーを覗く撮影機会が減っています。
それでも、光学ファインダーのある、ペンタックスのカメラは
撮影していて楽しいし、ものとしての愛着もあります。
動体撮影用でソニー、マウントアダプタ遊びでパナソニックの
ミラーレスも持っていますが、やはりミラーレスは
「撮影道具」としてしか認識できません。仕事ならいいだろうけど。
そしてペンタックスが光学ファインダーにこだわって
新しい梢材を用いたペンタプリズムを開発したと発表しました。
社名の由来にもなっていたペンタプリズムの加工は
非常に難しいものです。
ペンタミラーとペンタプリズムでは
ペンタプリズム機のほうがファインダー倍率は大きい。
これはミラーでは空気中を光が通過するのに対し、
プリズムでは屈折率の大きなガラス中を通過するためです。
屈折率の大きな物質の中を進むとなぜ倍率が上がるのか。
ファーカシングスクリーンから接眼レンズの先の眼までを
わかりやすく図示しました。
カメラのサイズなどの制約で、フォーカシングスクリーンから
眼までの物理的な距離はほぼ一定になります。
上の図では、ペンタ部分の反射は省略していますが、
屈折率の大きなプリズムを用いると光路長を長くできるので
接眼光学系の焦点距離を短くすることができます。
望遠鏡でもそうですが、
接眼レンズの焦点距離が短いほど倍率が上がります。
よって、光路長が長くなる高屈折率のガラスを用いたほうが
ファインダー倍率が大きくしやすくなります。
ペンタックスの新しい一眼レフではペンタプリズムに
高屈折ガラスを用いることでファインダー倍率を上げました。
ただ、高屈折率のガラスは加工が難しくなります。
屈折率が高いもののほうが基本的に硬くなります。
ダイヤモンドが一番高く屈折率2.4。
ペンタプリズムではダハ面の加工が特に精密さを要求されます。
レンズからの光がどのようにペンタプリズムで反射するかの図
ダハ面で2回反射します。
ここの部分の精度は少なくとも0.0055度以上が要求される。
制度が悪いとファインダーの中央に縦筋が見えてしまいます。
なので、ペンタプリズムに使用するガラスは
一般的なBK7から変えようとすると、
専用の工程が必要になり非常に難しくなってしまいます。
これをクリアしたということは、
ペンタックスは光学メーカとしての実力をまだ持っているということです。
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