・STC社のアストロマルチスぺクトラフィルターを確認
干渉タイプの光害カットフィルターを購入しました。
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透過型のフィルターに比べると、干渉型は波長のコントロールがしやすいため、
特定の波長をカットするのに優れています。
一方デメリットとしては、
角度依存が大きく、広角レンズで色シェーディングが発生しがち
コストがかかるので値段が高い、
カットする波長は反射するのでゴーストが発生しやすい
等があります。
今回勝ったものはマウント内に設置するタイプなので、
径が小さく値段がそこまで高くない(それでも高いけど)
広角レンズでも色シェーディングが発生しにくい
というメリットがある。
さて、STC社のアストロマルチスぺクトラフィルターという
干渉型光害カットフィルタを購入したので
今回も性能比較をグレーカードで行います。
Nisiの光害カットフィルターの確認
KANIの光害カットフィルターの確認
Kenkoスターリーナイトの確認
今回のフィルターは小さいので、分光照度計につけることができなかったので
グレーカードのみでの比較となります。
比較対象は、吸収型フィルターとしては優秀なKANIのLPRFです。
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ちなみに、アストロマルチスぺクトラフィルターの
分光は以下です。
参考
まずは、減光が少ないほうが良い、太陽効果でのグレーカードの撮影。
(中央重点測光、周辺減光の影響を受けにくいように3段絞る、ピントはずらす)
KANIの光害カットフィルタは0.7段暗くなり
アストロMSフィルターは1.7段暗くなります。
都市光害の主な原因の高圧ナトリウムランプ下では。
ナトリウム灯下では
KANIの光害カットフィルタは2段暗くなり
アストロMSフィルターは3段暗くなります。
太陽光下での減光を考えると、
KANIの光害カットフィルタもアストロMSも
1.3段ナトリウム灯の光を抑えてくれます。
ナトリウム灯に限ると、
誤差レベルでしか違いがない‥。
(0.3段以下はカメラやexifの表示では丸められて判断できない)
やはりなんとかして、照度計にフィルターを付けないと正確な判断ができない。
水銀灯ではどうだろうか調べようとしましたが、
すでに身近には水銀灯がどこにもなくて確認できず。
※水銀灯は2021年に法律で製造も販売も禁止された
代わりに、最近非常に増えている白色LEDで確認。
太陽光と比べると、白色LEDのカット効果は
どちらも0.03段ほどでほとんど効果がない。
白色LEDはスペクトルが連続なので
光害を抑えるのが難しい光源です。
天体撮影としてはかなり頭の痛い光源。
最後におまけとして、低圧ナトリウムランプ。
最初に記載していたナトリウム灯は高圧ナトリウムランプのことで、
街中で見かけるオレンジのライトはほとんど高圧タイプです。
低圧ナトリウムランプは一部トンネルなどで使われている、
オレンジのライトで演色性が全くありません。
この光源は特定の波長しか出さないので、
光害カットフィルターで簡単にカットできます。
KANIフィルター シャッター速度15sec ISO3200
アストロMSフィルター シャッター速度シャッター速度25sec ISO3200
KANIの光害カットフィルタは4.6段暗くなり
アストロMSフィルターは5.3段暗くなります。
ただ、アストロMSは暗くなりすぎて
露出の追従が正しくないので当てにならない。
太陽光に比べるとどちらも4段ほども光を抑えられている。
海外では、天文台の近くの街灯は
低圧ナトリウムランプしか使ってはいけない場所もあるそうです。
低圧ナトリウムランプだと光害の影響を除去しやすいためです。
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