・電子先幕による玉ボケ欠け
SONYのカメラで撮ると玉ボケが欠けるんだけど、
という話をまれに聞きます。
最近はニコンやキヤノンもミラーレスを出しているので
条件によって、同様に発生する場合があります。
欠けるのと欠けないのでは何が違うのかというと
メカシャッターを使っているか電子先幕を使っているかの違いです。
メカシャッターの動き
電子先幕の記事でも記載しましたが、
撮像素子上の先幕と、メカ後幕では位置に違いがあるため
両方を同じ速度で動かすと画面の上部と下部で輝度差分が出てしまいます。
特にスリット走行になったときは顕著。
スリット幅は一定でも撮像素子の下側に行くほど当たる光の幅が細くなっています。
つまり下側に行くほど暗くなってしまいます。
これを防ぐために、電子先幕の速さを早くすることで
撮像素子のどの部分も同じ幅の光が当たるようにする必要があります。
(メカ後幕の速度をコントロールするのは非常に難しい)
先幕の速さをどれだけ変えればいいのかは、
射出瞳までの距離や瞳径によっても変わるので、
レンズや絞りによって制御を変更する必要もあります。
このように、画面に輝度ムラが出ないように制御を行っても
玉ボケは欠けてしまいます。
玉ボケはセンサ面がピント位置より前か後にあるときに生じます。
この図はピント位置より後にあるので、後ボケが玉ボケになった時。
また、瞳の上のほうから入る光線と下のほうから入る光線を書いています。
まず下のほうから入る光を考えてみます。
露光ムラをなくすために、電子先幕はだんだん早くなり
撮像素子の下のほうに行くにつれてスリット幅が広くなります。
右の図のほうがスリット幅が広い。
電子先幕が開いてから、メカ後幕が閉じるまでにかかる時間が
図で記載した部分の幅です(幕速が一定と仮定)
次に瞳の上のほうから入る光。
上のほうから入る光だと
撮像素子に光が当たる時間が短いことがわかります。
メカシャッターが前側にあることによって、
ひさしの様に上側からくる光を遮ります。
逆に下からくる光は遮りにくいです。
軒先に庇をつけても、地面からの照り返しは防げないのと一緒。
このように瞳の上側の光はたくさん露光し、
下側の光の露光時間が短くなり、玉ボケにもムラができてしまいます。
(画像としては上下が逆になる)
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