・星景写真をより高画質に
最近星景写真を撮った後の画像処理が
以前よりもかなり時間がかかるようになってしまいました。
それはより高画質(低ノイズ)を目指してはじめたためです。
これまでは星景写真を撮影するときには
・星を追尾撮影
・地上を固定撮影
の二枚を撮影してそれを1枚の画像にしていました。
星空撮影ではどうしても高感度撮影or長秒撮影になりがちなので
どうしてもノイズが増えます。
ノイズを軽減する手法は最近のAIによる手法と複数枚の画像の重ね合わせを併用します。
星空部分は専用のソフトでスタック(重ね合わせ処理)を行います。
専用ソフトを使うと、赤い星雲などがかなり浮かび上がる。
この星空部分の追尾撮影が一番画像枚数が多い。
(ただし、アストロトレーサーを使用した場合は、枚数は10-20枚くらい)
撮影してきたら、一番最初にAIを使ってノイズ処理をしておきます。
星空の部分のAI処理はPureRAW3が一番良い。
このAIの処理にとにかく時間がかかる。。。
(高性能なグラボが必要)
出力されたDNGファイルを、PhotoshopでRAW現像します。
この段階でそれぞれの画像はそれなりに見栄えがする画像になるように。
16bitのtiff形式で保存しておく。
このTiffデータをsequatorで読み込んでスタック処理をします。
「光害を減らす」のパラメータは変えるとかなり仕上がりに違いが出るので、
いくつか作っておきます。
左から二番目の強さで、「積極的な抑制」をONとOFFにしたものをそれぞれ作成。
また、左から3番目か四番目の設定、積極的な抑制OFFで1枚。
合計で3枚作成しました。
積極的な抑制をONにすると、地上と空の境界付近が明るく浮くことがなくなります。
ただし、不自然に暗くなるときもあるので、両方作っておきます。
上記の例では明るく浮く現象は発生していませんが、明るく浮いた場合は、
その領域だけ「積極的な抑制」をonにした画像を使うことでうまくごまかせます。
・地上部分の処理
地上部分は単純に長秒露光でISO感度を下げてノイズを少なく撮れればそれでもかまいません。
ただし、夏に撮影するなどで気温が高いと、
長秒露光の熱ノイズが目立ってきます。
そのため、30秒x10枚など、複数枚を重ねることでノイズ低減をします。
重ね合わせは画像の平均で算出します。
フォトショップで平均画像を作るのは面倒くさいので、
ChatGPTを使って平均を出すスクリプトを作成しました。
平均を使って消せるノイズはランダムノイズだけです。
そのため、平均処理をする前にAIによるデノイズ処理をしてしまうと
平均でのノイズ処理がうまくいかなくなるので、AI処理は平均化の後に行います。
Pythonで記載されています。
引数の指定は python heikin.py [画像が入ってるフォルダ名]
です。
こうして出力した平均画像をそのまま使ってもいいのですが
固定の位置に出現するノイズが残ってる可能性があります。
その場合はPhotoshopの
フィルター⇒ノイズ⇒ダスト&スクラッチ
半径は1-2pix
閾値は0レベルでよい。
あまり半径を大きくしすぎると、ノイズも消える代わりに解像も犠牲になります。
ここまで処理してもまだノイズや解像感が気になる場合は
TopazPhotoAIでノイズ処理をしてもいいかもしれない。
これで地上部分が完成。
・地上部分と空部分の合成
Photoshopで作成した画像をレイヤーとして読み込みます。
地上部分の画像から空領域を切り取ります。
最近は、空を選択でいい感じに空部分だけを切り抜いてくれるので楽。
次に星空の部分を整えていきます。
今回は、「積極的な抑制」をOFFにしたことで不自然な部分は無いので
ONにした画像は使いません。
光害抑制の強度3の画像に黒いマスクを全体かけた後、
ブラシツールでコントラストを強めたい部分だけ白で塗っていきます。
どこまでこだわるかにもよりますが、どんどん撮影時間と処理時間が長くなってしまう…。
« ・生成系AIがあれば写真を撮影する必要はないのか? | トップページ | ・コンピュテーショナルフォトグラフとは »
「写真講座」カテゴリの記事
- ・ミラーレスレンズをマウントアダプターで使う場合の注意(2023.12.03)
- ・グローバルシャッターって何が凄いの(2023.11.14)
- ・写真に枠を付けて正方形にするプログラム(2023.10.30)
- ・レンズ光学性能とセンサー解像度(2023.10.11)
- ・フィルターに最適なガラス素材は?(2023.10.05)
« ・生成系AIがあれば写真を撮影する必要はないのか? | トップページ | ・コンピュテーショナルフォトグラフとは »
コメント