・超光害地での星空現像の手順
以前に都会での新星景写真の撮り方を記事にしました。
その時に現像編で現像方法を記載しましたが、そこでは書ききれなかった細かい処理などを
動画でキャプチャーしたので共有しておきます。
この方法は私の独学の手順なので、
もっといい方法があったり効率の良い方法があったりするかもしれません。
以前に都会での新星景写真の撮り方を記事にしました。
その時に現像編で現像方法を記載しましたが、そこでは書ききれなかった細かい処理などを
動画でキャプチャーしたので共有しておきます。
この方法は私の独学の手順なので、
もっといい方法があったり効率の良い方法があったりするかもしれません。
花火の写真を撮ったときなど、
カメラから出力されるjpegだと白飛びしてても、
RAW現像だと救えることがあります。
それがなぜなのか、
RAW現像の仕組みから説明していきます。
これのRAWデータを無理やりビットマップに変換して
画像的に見えるようにしたもの。
全体的に緑っぽく、明るさも暗いですが、
これがカメラが見てる何も処理してない状態の世界です。
ここから以下の図のような処理をかけていき
最終的に人間が見たのと同じような画像にします。
撮像素子は緑の画素の感度が高いので、
RとBの画素にゲインをかけて(増感して)RGBのバランスを整えます。
これがホワイトバランスゲインです。
光源にもよりますがRがx1.7でBがx1.5とかの値をかけたりします。
白飛びしてるところがまだ緑に見えますが、それは緑の画素が多いため。
白飛び領域を拡大するとこんな感じ
RGBそれぞれの画素の値が255になっており飽和しています。
暗い場所で高感度画像だとノイズの色が赤や青、それの混ざったマゼンタだったりするのは
ホワイトバランスゲインはRとBに大きくかけるのが原因です。
じゃあ、Gの画素にx0.6などかけることでRGBのバランスをとればいい
という考えもありますが、これはよくありません。
無理やり緑の画素を暗くしてホワイトバランスをとった画像。
この暗くする方法はマイナスゲインとか言われたりします。
白飛びしてる領域を拡大してみるとこうなっている。
数値が255ではなくなり、白飛び領域が飽和しなくなってしまいます。
(とりえる値が0-255の範囲ではなく0-180などになってしまう)
これを飽和が保障されないとか言ったりします。
なので、一般的にはマイナスゲインをかけることはしません。
このホワイトバランスゲインもjpegだと白飛び(色飽和)してるけど
RAWだと白飛びしにくい原因の一つです。
デモザイクは白飛びにはあまり影響がないので飛ばします。
以前の記事
ガンマは影響があります。
ホワイトバランスゲインとデモザイクを行った状態の画像が以下です。
全体的に暗く見えますが、これはガンマがかかっていないためです。
人間の目は光の量が2倍になっても
感じられる明るさは2倍にはならないという特性があります。
人間の目の特性に近い
y=2.2^x という関数をかける。
最終の画像に近い明るさになりました。
メーカーや機種や画像仕上げ設定によって、
このガンマがどのようなカーブになるか異なります。
そしてそのガンマカーブによって
白飛びしてなかった領域が白飛びしてしまうこともあります。
最後にノイズリダクションやコントラストや彩度コントロールなど
メーカーの絵作りが本格的に入ります。
この際にもコントラストをあげるなどして、
ハイライト部分が白飛びしてしまうこともあります。
このように、RAWで白飛びするかしないかぎりぎりの領域は
現像の過程で白飛びしてしまうことがあります。
RAW現像でその画像に最適な処理をしてあげることで
jpegで白飛びしていた領域を救うことができることもあります。
去年の10月、彗星を撮影しているときに
強いピンクの放つ建物があり、空に色が被っていやだなぁと思っていました。
ラブホかパチンコ屋なのかなと思っていたのですが、調べると
野菜栽培のためのビニールハウスでした。
(以下は案内のページ)
なぜ野菜の栽培ではマゼンタの光(ピンクの光)を使用するのか?
以前に書いた、植物が緑色である考察の記事が参考になります
植物は緑色をしていますが、
それは緑の光を反射しているためです。
つまり、光合成では緑の光は使用されないので、緑の光はあてても無駄です。
光の三原色RGBのうち、R(赤)とB(青)だけ当てればいいことになります
(正確には光の三原色は人間の視覚に基づくものなので正しくはないですが
LED光源を考えるとこれが効率よい)
赤と青の光を混ぜるとマゼンタになります。
これが野菜工場の光の色の理由です。
最近、Amazonなどでカメラ用のUSBカプラーが売られていることを知りました。
カメラのカプラーとはダミーバッテリーのことで、
長時間カメラを起動しておくために、電源コンセントから電力を供給するアクセサリーのことです。
店頭展示のカメラなどでよく使われています。
もちろんそのための純正アクセサリとしても存在していますが、
電源コンセント接続なので基本的に屋内利用の想定でした。
しかし最近はモバイルバッテリーに接続できるタイプもあり、
それを使えばバッテリー持ちが気になるような屋外撮影でも
長時間撮影の助けになります
ペンタックス用のを買いました。
バッテリーからコードが伸びています。
色々なモバイルバッテリーで動作を試しましたが、
正常に動作しないものもあったので注意が必要です。
基本的に高出力のモードがついているものじゃないと電源すら入りません。
また、ペンタックス版だと、電源は入ってもシャッターを切った瞬間止まるものもあります。
シャッター切るときは必要な電圧が上がるのかもしれません。
手元にあるモバイルバッテリーで安定して使えたものを紹介しておきます。
(ただし動作確認はペンタックスK-S2なので、他メーカーや機種によっては違うかもしれないので注意)
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ちなみに上記のバッテリーは、3時間天体撮影に利用して5%容量が減っていました。
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逆に正常に動かなかったバッテリーは以下
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Zマウントで使うマクロレンズとして、シグマの105マクロを購入しました。
(Zマウント用は出ていないので、Eマウント用をアダプタ経由で使用)
純正の105マクロも採算度外視で作られてるということで評価がいいのですが、
シグマのふるさと納税ポイントがあったのでこちらを購入。
シグマの工場がある福島県磐梯町だと返礼品でシグマのポイントがもらえます。
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シグマ105マクロも解像性能は非常に高いということで、
天体撮影にも使えればと思い選択。
性能比較する際に、ちょうどいい性能比較対象レンズを持っていなかったので
タムロンの70-180mm(正確にはZ 70-180F2.8)の105mm相当付近での性能と比較。
さすが単焦点のシグマのマクロのほうが解像感が高く
フレアっぽさも少なくコントラストが高い。
光の当たり方が変わっていて厳密な比較ができないですが、
周辺部も中心部と同様の傾向です。
ただどちらのレンズも、周辺部だからと言って
大きく画質劣化することはなさそうです。
二段絞るとタムロンもフレアっぽさがなくなってかなりしっかりします。
シグマは解放でも十分シャープだったので
そこまで大きな違いが判らない…。
周辺拡大
周辺部はなぜかシグマは倍率色収差が大きく出てしまっている。
補正で消せるはずだが、なぜかうまく消されていなかった…。
天体での比較撮影もしました。
F2.8
タムロン70-180(105mm付近)
さすがに単焦点とズームレンズの差が。
シグマのほうが小さい星もしっかり映っている。
また、タムロンのほうは星の周りに青く軸上色収差が少し気になります。
周辺はどちらも流れが少なく、ほぼ点像を維持しています。
星撮影でここまで整っていればズームレンズとしては申し分ない
天体でF5.6まで絞ることはあまりありませんが、
これくらいまで絞ると、十分どちらのレンズでも解像性能は出ていそうです。
写真の色味を整えたり、RAW現像をPCで作業するときの作業環境は大事という話です。
写真に限らず動画編集でも同じ。
・外光が入らず明るさが一定の部屋
こういう部屋はNG
目は明るさや色に順応してしまうので
明るさや色が変わると同じ画像を見ていても違う色などに見えてしまいます。
グレーの円はすべて同じ明るさだが、左のほうが暗く見える。
色についても同じです。
黒い点を20秒見つめていて、その後画面全体が白くなると、見ていた色の補色が残像で見える。
なので、写真編集時には窓はカーテンやブラインドで閉めたほうが良い。
また、部屋の照明は電球色とかのLEDではなく、5500Kの白色、演色性が高いものが良いでしょう。
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照明の変更ができない場合は、電気を消して暗くしてしまうというのも手。
また、照明だけでなくPCのほうを向いて作業したときに目に入る壁紙なども
無彩色にしておくのが良いです。
PCの壁紙も無彩色にしておくのがおすすめ。
私は自分で撮った写真をグレースケールにして使用してます。
5年前にクアッドピクセルのセンサーについて記事を書いていましたが、
この仕組みのセンサーは進化し続けています。
クアッドピクセルセンサーの次に出たのが
オクタピクセルセンサーです。
その名前の通り、8つの画素でひとまとまりになったものです。
図の中の〇はオンチップレンズ(マイクロレンズアレイ)を表したもの。
クアッドセンサーの各画素がデュアルピクセルになり、
すべての画素で像面位相差ができるようになったセンサーです。
さらにシャオミRedmi Note 13 Pro+ 5Gなどの2億画素のスマホは
16画素でひとまとまりのセンサーです。
サムスンのは各画素にオンチップレンズがある模様。
フルサイズ一眼でも4000万画素くらいなのに、
スマホに2億画素も必要ないと思うかもしれません。
このセンサーは実際には16画素加算(ピクセルビニング)で使用されます。
2億÷16 = 1250万画素で基本的には使用します。
画素加算することでノイズにも強くなります。
最近はこの手のセンサーはロスレスズーム機能で使用してます。
下の図のように白枠で囲った4画素ずつを画素加算することで
1250万画素のまま、解像度を落とさずに2倍ズームができます。
さらに画素加算をまったくしないと4倍ロスレスズームもできます。
※画素加算しない分画質が下がるのと、
レンズ解像度が上がるわけではないのには注意。
スマホは全部このセンサーにすればいいじゃんと思うかもしれませんが、
欠点もあります。
一番はコスト。このセンサーを積むとスマホの値段にコストが跳ね返ってきます。
また、画素数が多いので電力も高い。
読み出し速度も遅くなる、などがあります。
なので、スマホ端末のたーげとユーザに応じてセンサも使い分ける必要があります。
紫金山・アトラス彗星は去ってしまいましたが、
次の大彗星が来た時に備えてメモしておきます。
彗星を撮影できる時間帯は2つあります。
一つ目は日の出前。
前回の記事で書きました。
今回は日の入り後に彗星が見えるときの撮影の設定です。
撮影場所の探し方などは日の出前の時と同じです。
彗星が見える方角にだけ注意。
日の入り後の彗星撮影で一番難しかったのは
彗星が見える場所の探し方でした。
日の出前の撮影の時は、空が暗いので
そのあたりの方角にカメラを向ければ容易に発見できました。
日の入り後の場合は、空が明るいのでなかなか見つけられない。
いつも紹介していたソフトはstarwalk(無印)なのに注意。
2も有料でお金かかるのですがそれだけの価値はあります。
AR重畳で彗星の位置を示してくれるので場所をすぐに特定できる。
また、空がそれなりに開けてる場所なら同じ目的の方がほかにもいると思うので
その人に聞くというのも手の一つ。
同じ趣味の仲間として情報交換するのも楽しいです。
見つけさえすれば後は簡単。
赤道儀使う場合は、都心での新星景写真の撮り方のように構図を決める。
赤道儀がない場合は、
焦点距離70mmくらいの場合は
まだ明るいうちは、シャッター速度優先で大体2秒くらいにシャッター速度を固定して、
絞りとISO感度で明るさを調整して撮ります。
ただ、地平線に近づくほど、空気が霞んでいるので、
ベストの位置で撮るのが難しい…。
(高い山なら、低い空でも空気が澄んでるけど)
沈む彗星の現像結果
三回目の撮影では、星も結構写り、コンポジット合成ができたので
彗星のアンチテールも映し出すことができました。
今まで彗星を撮るタイミングはあったのですが
今回の紫金山アトラス彗星で初めて彗星撮影に成功しました。
忘れないように設定などをメモしておきます。
彗星が良く見えるのときは太陽の近くにいるので
日の出前か日没後のわずかな時間しか見えない。
見える方角は日の出前の時は東、日没後は西の空。
なので、彗星を見る場合は東か西の空が開けてる場所である必要があり。
また、彗星が見える細かい方角は、太陽の近くにいるということなので
日の出や日没の方向を確認すればよい。
今回は日の出前に見える彗星を撮影したのでその時を例として記載しておきます。
LightTrackというアプリで日の出の方向がわかるので、
これとGoogleストリートビューで撮影場所を探す。
特に前景と合わせたい場合はちゃんと方角があってるか注意が必要。
また、彗星は低い空に見えるので薄い雲の影響も受けやすいので
なるべく標高が高い場所のほうがいい。
今回の彗星程度明るければ海沿いでも十分だと思いますが…。
彗星が地平線から昇る時刻もStarWalkというアプリで確認しました。
大体4:30。
後は現地に1時間前くらいには行ってセッティング。
普通の星などの天体を撮るときは、コンポジットを行って
ノイズ除去とかするけど、彗星だと位置合わせがうまくいかないことがあるみたいなので
一枚撮りで感度を下げることにしました。
なのでシャッター速度を長くするために赤道儀を使用しています。
極軸合わせは方位磁針で大雑把に合わせただけでも十分です。
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レンズは70-180の望遠ズーム。
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KANIの光害カットフィルターも付けました。
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光害カットフィルターを付けておくと、夜明け前の空の色もいい感じになります。
そろそろ彗星が出てくる、という時間になっても目視では全然わかりませんでした。
双眼鏡も持ってきましたが全然わからない…。
彗星の尾が写っていました。
今回の彗星は尾がながい。
彗星が出てきてすぐの時の露出は以下の設定でした。
F3.5
ISO640
30sec
もうちょっとISO感度下げて60secにしてもよいかもしれない。
時間が限られる彗星撮影であんまり長秒にしたくないけど…。
ISO6400まで上げれば、赤道儀はなくても撮れる。
20分後。だいぶ明るくなって、彗星の位置も高くなってきている。
これくらいになると設定は以下でした
F5.6
ISO125
25sec
大体4段分くらい明るくなっていました。
これくらい明るくなると、尾の淡い部分がほとんど映らなくなってしまっていました。
日の出の50分くらい前です。
10月中旬以降は夕方に見れるのでこれの逆になります。
動画撮影時は面内ブレと面間ブレ、二つのブレに気を付ける必要があります。
以前書いた面内ぶれと面間ブレの記事。
面間ブレは、電子手振れ補正や、
動画編集ソフトでのスタビライズ機能で補正することが可能。
電子手振れ補正機能のみのカメラで撮影すると
以下のような動画が撮れる場合があります。
手振れは抑えられているのですが、何となくぼやけたような映像になっています。
この現象は面内ブラーとかにじみとか残像ブレとか言われたりします。
一枚切り出し。
一枚切り出しで見てみると、普通に手振れしたような画像になっている。
この手ぶれ(面内ブレ)によって動画ではぼやけたように見えてしまうのです。
ただ、この面内ブラーは電子手振れ補正をかける前の動画では目立ちません。
手振れ補正をかけるまえは、そもそも画面全体のブレがひどいのと
面内のブレの方向と画面全体のブレの方向が一致するので、
あまり気になりません。
面内ブラーは電子式手振れ補正をすると目立つ現象です。
この現象を防ぐ方法として一番効果的なのは光学手振れ補正を使用することです。
ただし、カメラに機能がついてない場合は使えません。
その場合は、シャッター速度をなるべく早くするのことで対策できる。
ただし、その分ISO感度を上げて撮影する必要があるため
夜間などはノイズが目立ってしまいます。
最近は動画編集ソフトでのノイズ除去も優秀なので
面内ブラーよりはノイズのほうがましです。
ただ、夜間は1/100(西日本は1/120)より早くするとフリッカーが出る場合があるので注意。
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